甲賀忍法帖：忍者のロマンスと復讐を描いた壮大な物語
忍者を描いた名作といえば、日本の小説家・山田風太郎の『甲賀忍法帖』が常に上位に挙げられます。1958年12月から1959年11月にかけて講談社の雑誌『おもしろ倶楽部』に連載されたこの作品は、山田の名作『忍法帖』シリーズの第一作となり、その後『伊賀忍法帖』や『柳生忍法帖』などが続きました。
2003年には、漫画家・せがわまさきによって漫画化され、大ヒットを記録しました。その後まもなく、有名アニメスタジオGONZOによってアニメ版『バジリスク～甲賀忍法帖～』が制作されました。2005年には、オダギリジョーと仲間由紀恵主演で実写映画『忍び ハートアンダーブレード』が公開されました。それぞれの作品は、核となるストーリーは同じですが、登場人物のストーリー展開や結末は大きく異なります。
ストーリー概要
甲賀家と伊賀家は、どちらもエリート忍者の一族であり、源平合戦以来、激しいライバル関係にあります。何世紀にもわたる流血の末、伝説の服部半蔵が和平を仲介し、両家の間には脆い休戦協定が結ばれました。
しかし、1614年、徳川家康は孫である竹千代と国千代の後継者争いを解決しようと、この休戦協定を破棄します。家康は、両家から10人の忍者を選出し、将軍家継承者を決めるための死闘を繰り広げることを命じます。甲賀家は国千代の代表、伊賀家は竹千代を擁立します。
悲劇的なことに、甲賀家の跡取り息子である源之助と伊賀家の朧は、婚約し深く愛し合っていましたが、この容赦ない争いの渦中に巻き込まれてしまいます。
翻訳と出版
山田の原作は、2006年12月にデル・レイ社から英語版が出版されました。また、中国語（繁体字・簡体字）にも翻訳されています。
関連メディア
バジリスク ～甲賀忍法帖～ – 漫画版
甲賀忍法帖（映画） – 2005年の実写版『忍び』
外部リンク
『忍び ハートアンダーブレード』のIMDbページ
『忍び ハートアンダーブレード』のDoubanリスト（中国語）
せがわまさき公式サイト
アニメ『バジリスク～甲賀忍法帖～』公式サイト
実在の忍者 vs 架空の忍者
「忍者」という言葉を聞くと、ほとんどの人はすぐに『NARUTO -ナルト-』のような派手なアニメを思い浮かべるでしょう。派手な術や不気味な体術、超自然的な道術の戦いなど、今日のメディアに登場する忍者は、暗殺者というよりはスーパーヒーローに近い存在です。
現実世界では、忍者は諜報活動、破壊工作、暗殺を専門とする秘密工作員でした。真の忍術は、派手さよりも実用性を重視していました。そして、日本の豊かな忍者伝承において、現実世界でもっとも有名な勢力は伊賀氏と甲賀氏でした。まさに『甲賀忍法帖』の登場人物のようです。
戦いの始まり
慶長19年（1614年）、徳川家康は甲賀氏と伊賀氏の当主、弾正とお玄を召集します。彼らは徳川の世継ぎを代表し、それぞれ10人の武将を選抜して死闘を挑みます。最も多くの生き残りを収めた側が次期将軍を決定します。
かつて恋人同士だった年老いた弾正とお玄――弾正は衰弱した男、お玄は弱々しい老女――は、巻物を後継者に引き継いだ後、最初の犠牲者となります。二人は死闘の末、互いに命を落とします。皮肉なことに、二人はかつて深く愛し合っていた。
戦を拒んだ愛
1582年、若きおげんは弾正に恋をした。両氏族の間には根深い憎しみがあったにもかかわらず。密会と和平への希望が二人を結びつけた。初代服部半蔵の導きの下、両氏はついに休戦協定を締結。期待は高まっていた。
しかし、信長の激しい遠征と両陣営からの妨害工作により、二人の関係は崩壊した。誤解と裏切りが二人を引き裂いた。二人は結婚することなく、孫の縁談で氏族間の橋渡しをしようとしたが、運命は別の計画を用意していた。
血、裏切り、そして忍者の技
甲賀忍法帖は、石を切り裂く糸のように細い針金、体毛を操る技、ヒルのような吸血能力、そして毒のブレス攻撃など、想像力豊かで恐ろしい忍者の技の数々を披露する。選ばれた20人の忍者はそれぞれ独自の能力を持つ。
現代の読者にとっては、これらの能力は控えめに感じられるかもしれないが、この小説が1958年に出版されたことを考えると、その独創性と心理的な深みは今もなお印象深い。感情の揺らぎと登場人物の成長は、物語を単なる戦闘シーンの域を超え、より高みへと引き上げている。
最終的な感想
『甲賀忍法帖』は、単なる忍者の戦いの物語にとどまらず、愛、憎しみ、裏切り、そして義務を描いた、深く人間味あふれる物語です。力強い登場人物と悲劇的な筋書きを通して、歴史上の忍者神話の真髄を捉え、このジャンルを何世代にもわたって再定義しました。
日本の伝統文学、残忍な忍者の戦い、あるいは胸を締め付けるようなロマンスのファンなら、ぜひ『甲賀忍法帖』をお読みください。
よくある質問
徳川将軍家の後継者争いの危機を解決すべく、甲賀と伊賀という二つの敵対する忍者一族が死闘を繰り広げる歴史忍者小説です。
フィクションではありますが、実在の忍者一族（伊賀流忍者と甲賀流忍者）や、1600年代初頭の徳川家督相続問題からインスピレーションを得ています。
『バジリスク』は『甲賀忍法帖』の漫画・アニメ版で、登場人物の運命や描写に若干の変更が加えられています。
英語版はDel Reyから、中国語版も出版されています。
物語の中心となるのは、敵対する一族の恋人同士である甲賀弦之助と伊賀朧です。二人は悲劇的な戦いに巻き込まれます。
ロマンス、時代設定、超自然的な忍術、そして奥深いキャラクター描写が融合している点が、この作品の特徴です。
結論
『甲賀忍法帖』は、忍者の戦いの残酷さと優雅さをシェイクスピア劇の悲劇と融合させた、時代を超えた傑作です。時代劇、悲恋、壮大なアニメバトルのファンなら、この作品は見逃せません。忍者の忠誠心、裏切り、そして破れた愛が織りなす、死の世界に飛び込みましょう。『甲賀忍法帖』があなたを待っています。
